「ときめきって、どういう感覚かわからないんです」
これは、私が片づけのご相談を受ける中でとてもよく耳にするお声です。
はじめまして。こんまり流片づけコンサルタントの池田やよいです。
40代から70代の方を中心に、「もう片づけに悩まない暮らし」へのサポートをしています。
実は、「ときめきがわからない」と感じている方こそ、こんまり流の片づけにぴったりなのです。
今回は、「ときめきってなに?」「わからないから片づけられない」とお悩みの方へ向けて、
ときめきの本当の意味と、その感覚の育て方についてお話ししていきます。
ときめきがわからない人にこそ、こんまり流の片づけは価値がある

「ときめきの感覚がわからないから、片づけができない…」
そう悩んでいる方はとても多いですし、実際に、片づけを始めても最初はスムーズに進まないこともあります。
でも、それは決して悪いことではありません。
今まで感情を抑えてきた人
「好き」や「嬉しい」といった気持ちを後回しにしてきた人
人の価値観を優先し、自分の気持ちに気づかないふりをしてきた人
そんな方にとって、こんまり流の片づけは、
「自分って、こんなものが好きだったんだ」
「こんな風に生きたいと思っていたんだ」
ということを、ひとつひとつ思い出していく大切なプロセスになります。
片づけを通じて、自分の中に眠っていた「ときめき」を見つけていく――
その時間そのものに、大きな意味と価値があるのです。
ときめきにはいろんな種類があるから

「ときめき」と聞くと、何か特別な感覚――たとえば「キュンと心が踊る」瞬間だけを想像しがちです。
でも実際は、ときめきにはさまざまなカタチがあり、最上級のときめきだけが正解ではありません。
たとえば、こんな感覚も立派なときめきです:
☆見ているだけでうれしくなる
→たとえば、色合いやデザインが好きなカップや布。
☆持っていると、なんとなく安心できる
→長年使ってきたブランケット、手になじむお箸など。
☆「好きだな」と素直に思える
→選んだときの気持ちを思い出す服やアクセサリー。
☆自分を前向きにしてくれる
→着ると背筋が伸びる服、気持ちが晴れる色のバッグ。
☆しっかりと役割を果たしてくれている
→迷わず手に取るキッチン道具や、使いやすい文房具。
☆毎日目に入るだけで、気持ちが整う
→お気に入りのカレンダーや、思い出の写真立て。
☆そばにあることで「私らしい」と感じられる
→選び抜いた香りのアイテムや、好きな作家の本。
このように、心が少しでも動いたり、体がふっと緩んだりする感覚は、すべて「ときめき」のサインです。
一方で、「ときめいていない」感覚にも、実はわかりやすい特徴があります。たとえば:
✔見ると気分が下がる、重たくなる
→着るたびになんだか気持ちが沈む服、くたびれたバッグ。
✔使っていないことに、どこか後ろめたさを感じる
→「買ったのに全然使ってないな…」と思ってしまうモノ。
✔目に入っても、特に何も感じない(感情が動かない)
→存在すら忘れていた引き出しの奥の雑貨など。
✔「もったいないから」と理由だけで残そうとしている
→セールで買ったけど使わないキッチン家電。
✔誰かにもらったから捨てたら申し訳ない…という罪悪感だけで持ち続けている
→趣味ではないけれど、お祝いでいただいた置き物など。
✔「いつか使うかも」で何年もそのまま
→まだ使えるから…と取ってある空き容器や紙袋。
✔見るたびに少し自己嫌悪になる
→サイズが合わなくなった服、読んでいない本の山など。
こうした感覚は、自分にとって“ときめいていない”サインである可能性が高いのです。
そして、片づけのときに「手が止まってしまうモノ」こそが、まさにこの境界線にあるもの。
ときめくモノは、たいてい手に取った瞬間に「これは残したい」と、迷わず決まります。
でも、手に取って考え込んでしまう、決められないモノは、自分の感情が動いていない証拠かもしれません。
そんなときは、
「どうして手が止まったんだろう?」
と、自分の内側にそっと目を向けてみてください。
ときめきは、外から探すものではなく、自分の中にすでにあるもの。
その感覚に気づくためのヒントが、そこに隠れているかもしれません。
「ときめき」を実感する具体例

「ときめき」とは、決して特別なモノや高価なモノだけが感じさせてくれるものではありません。
ごく身近な日用品や、暮らしの中のちょっとしたアイテムにも、ちゃんとその感覚は宿っています。
たとえば――
- 毎朝使うお気に入りのマグカップ。持ったときの手触りや色合いが心地いい。
- 外出時にいつも身につけたくなるスカーフ。鏡を見ると自然に笑顔になれる。
- 少し高かったけど「どうしても欲しかった」と感じたエプロン。料理が楽しくなる。
- 使うたびに「やっぱりこれが一番」と思える文房具やメモ帳。
- クローゼットを開けた瞬間、パッと目に入ってテンションが上がる服。
これらはすべて、「ときめくモノ」として自然に手元に残っていくものです。
何度使っても心が動く、“理由はいらないけれど、好き”という感覚。それこそが、あなたにとってのときめきです。
一方で、「ときめいていない」モノにも、こんな例があります。
- サイズが合わなくなったけど、いつか痩せたら着るかも…としまい込んだままの服。
- 気に入ってはいないけれど「高かったから」と手放せないバッグや靴。
- 雑誌の付録や試供品でなんとなく取ってあるけど、一度も使っていないコスメ。
- 一度も開いていないけれど、勉強しようと思って買ったままの本。
- 引き出しの奥から出てきた、すでに存在も忘れていた書類や文具。
これらは、気持ちが動かない、もしくは少しネガティブな感情があるモノたちです。
ときめいていないモノに囲まれていると、無意識にストレスが溜まったり、自己肯定感が下がってしまうことも。
片づけは、モノを捨てる作業ではなく、自分の感覚と丁寧に向き合うプロセス。
だからこそ、こうした身近な例を通じて、「ときめく」か「ときめかない」かを見極める目を養っていきましょう。
「ときめきがわからない」ことこそ、片づけの大きなチャンス

「ときめきがわからない」という方にお会いすると、多くの方がこうおっしゃいます。
「自分の気持ちが鈍くて、片づけができないんです」と。
でも、私はいつもこうお伝えします。
なぜなら、こんまり流の片づけは、ただモノを減らすのが目的ではなく、
自分の感情に耳を傾け、人生に必要なものを選び取っていくプロセスだからです。
ときめきがわからないという人の多くは、これまで長い時間、
「我慢してきた」「気持ちを後回しにしてきた」「自分より他人を優先してきた」
そんな経験を重ねてきた方が多いと感じます。
だからこそ、「好き」や「うれしい」といった気持ちを感じることに慣れていないのです。
でも、ひとつひとつのモノに向き合いながら、
「これは好きかな?」「どう感じる?」と、何度も何度も感情にアクセスしていくことで、
少しずつ、本当の自分に戻っていくような体験が始まります。
最初は、何も感じなかったモノが、ある日ふと
「あ、これは好きかも」と心が動く瞬間がやってきます。
それはまるで、眠っていた感情が少しずつ目を覚ましていくような感覚です。
そして片づけを終えたあと、こんな言葉をくださる方が本当に多いのです。
「これまで自分の気持ちを、ちゃんと聞いてこなかったことに気づきました。」
「片づけを通して、自分が何を大切にしたいのか見えてきました。」
ときめきがわからなかったからこそ、感じた“変化”や“気づき”は、
その人の人生にとって、とても大きな意味を持ちます。
だからこそ、私は声を大にしてお伝えしたいのです。
ときめきがわからない人にこそ、こんまり流の片づけは大きな価値がある。
そしてそれは、人生を再スタートさせる力にさえなりうるのです。
ときめきは「持って生まれた感覚」を「思い出していくもの」

ときめきがわからないからといって、片づけができないわけではありません。
むしろその逆で、わからないからこそ、片づけを通して“自分の感覚”を思い出すことができるのです。
こんまり流の片づけは、「自分の気持ちを大切にしていいんだ」と気づかせてくれる、
心のリハビリのような時間でもあります。
私自身、ときめきで物事、人間関係を選べるようになったことで、いつの間にか自分の人生がときめきはじめ、人生の舵を自分で切っている感覚になり、人生の満足度が上ってきたように思えます。
あなたの中に眠っている「ときめき」の種が、
片づけを通して、静かに芽吹いていくのをぜひ感じてみてください。