「これを捨てたら、後悔するかもしれない」
片づけをしていると、そんな気持ちになることがあります。
まだ使える。
高かった。
いただきもの。
思い出が詰まっている。
いつか使うかもしれない。
頭では「ときめくものを残す」とわかっていても、いざ手放そうとすると、手が止まる。
それは、決して片づけが苦手だからではありません。
そのモノに、何か大切なものを託しているから。
だから、そんなときは無理に手放そうとする前に、
「私は、何に引っかかっているんだろう?」
と、自分の心に聞いてみてほしいのです。
こんにちは。
こんまり®︎流片づけコンサルタントの池田やよいです。
これまで、たくさんの方の片づけに寄り添う中で、
「捨てたら後悔しそうで、手放せない」というお悩みをたくさん聞いてきました。
そして私自身も、片づけ祭りの中で、何度も迷いました。
だから今日は、
「捨てる・捨てない」を決める前に、少し立ち止まって考えてみてほしいことをお伝えします。
「高かったから捨てられない」の、その先にあるもの

例えば、
「これ、高かったから……」
という理由で手放せないモノ。
でも、本当に引っかかっているのは「金額」だけでしょうか?
もしかしたら、
「仕事を頑張って、やっと買ったものだから」
なのかもしれません。
「若い頃の自分には、これが必要だった」
という思いがあるのかもしれません。
「こんな高いものを買えるくらい、頑張った自分を認めてあげたい」
という気持ちなのかもしれません。
そうだとしたら、必要なのは、そのバッグや時計を持ち続けることではなく、
「あの頃の私は、本当によく頑張っていたね」
と、過去の自分を認めてあげることなのかもしれません。
モノを手放しても、頑張った自分まで手放す必要はありません。
そして、高かったからこそ、一度ちゃんと今の自分で身につけてみるのもおすすめです。
昔は似合っていた服。
憧れて買ったバッグ。
背伸びして手に入れた時計。
クローゼットの奥にしまい込んでいては、今の自分に合うのかどうか、意外とわからないものです。
実際に身につけてみる。
鏡の前に立ってみる。
それでもまだわからなければ、そのまま出かけてみる。
歩いているときの自分。
人と話しているときの自分。
ふとショーウィンドウに映った自分。
そんな瞬間に、
「やっぱり、これ好き」
と思うかもしれない。
反対に、
「なんだか今の私には違うな」
と、はっきり感じることもあります。
頭で考えるだけではなく、今の自分の体と心で感じてみる。
それも、モノを選ぶ大切な方法です。
もし、見ているだけで元気になれるような殿堂入りのモノだとしたら、いつでも目に入る一等地に収納するのがおすすめです。
「思い出があるから」は、もっと深いところを見てみる
手放せない理由が「思い出」の場合もあります。
昔使っていた手帳。
子どもが小さかった頃のモノ。
大切な人からもらったモノ。
人生のある時期を一緒に過ごしたモノ。
こういうものは、単純に
「ときめかないなら手放しましょう」
とは言えません。
なぜなら、私たちが手放すのが怖いのは、
「モノを失うこと」ではなく、
「その思い出まで消えてしまうこと」
なのかもしれないからです。
でも、思い出は本当にモノと一緒に消えてしまうのでしょうか?
私は、そうではないと思っています。
そのとき感じたこと。
嬉しかったこと。
悔しかったこと。
頑張ったこと。
大切な人と過ごした時間。
それは、これまでの人生の中で何度も経験したこととして、私たちの身体や心に刻まれているはずです。
今の自分があるのは、その時間を生きてきたから。
だから、その思い出を残すために、必ずしもモノそのものを持ち続ける必要はありません。
もちろん、残したいなら残していい。
写真に残してもいい。
思い出をノートに書いてもいい。
一部分だけ残すという方法もあります。
大切なのは、
「このモノを手放したら、思い出までなくなる」
と決めつけないこと。
思い出は、モノの中だけにあるものではないからです。
「いつか使うかもしれない」にも、一度向き合ってみる
「いつか使うかもしれない」
これも、片づけでよく出てくる言葉です。
そんなときは、
「いつ、どんなときに使う?」
と、具体的に想像してみます。
「いつか」ではなく、
「来月のこの予定で使う」
「この季節になったら着る」
「この場面なら使いたい」
いっそのこと、今日使ってみる。
そんなふうに、実際の暮らしに落としてみる。
使ってみたら、気分が良い!それならときめくモノとして残してみる。
使う場面を考えても、何も思い浮かばない。
それなら、
「使うかもしれない」という未来より、
「今の私が、このモノを持っていたいか?」
を感じてみる。
モノを持つ理由を「いつか」だけに預けないことも、大切だと思います。
「なくても困らない」と「残したい」は別の話

ここで、ひとつ大切なことがあります。
「なくても困らないもの=手放すもの」
ではありません。
なくても困らないけれど、
「私はこれが好きだから残したい」
というものもあります。
以前の私なら、
「何に使うの?」
「なくても困らないよね?」
と言われたら、手放す方向に考えていたと思います。
でも、今は違います。
このスプーンとフォークのように、
本来のお役目は20年以上前に終わっていても、
見るだけで笑顔になる。
使うたびに嬉しくなる。
そんなものなら、私は大切に残したい。
モノの価値は、
「役に立つかどうか」
だけでは決まらないからです。
それでも、どうしても迷うときは
ここまで考えても、
「やっぱり決められない」
ということもあります。
そんなときは、無理に答えを出さなくても大丈夫です。
片づけは、テストではありません。
「正解を当てる」ものでもありません。
自分で選んでみて、暮らしてみて、
「やっぱりこれでよかった」
と思うこともあれば、
「あれ、手放さないほうがよかったかも」
と思うこともある。
私自身も、片づけ祭りの中で手放して、後悔したモノがいくつかありました。
でも、今となっては、そのほとんどが何だったのか思い出せないくらいです。😇
それよりも、
片づけを終えたあとに広がった景色。
好きなものが目に入る毎日。
家で過ごす時間の心地よさ。
自分で選んだものに囲まれている安心感。
そちらの変化のほうが、ずっと大きかった。
だから私は、
「後悔しないように選ぶ」ことより、
「これからの自分が大切にしたいものを選ぶ」こと
のほうが大切なのだと思っています。
「もったいない」が、理想の暮らしを遠ざけていない?
「もったいないから」
「高かったから」
「後悔したくないから」
そうやって残しているモノが、家の中にたくさんある。
それ自体が悪いわけではありません。
でも、そのモノたちのために収納スペースが必要になり、
本当に好きなものをしまう場所がなくなり、
探し物が増え、
家がなんとなく落ち着かない。
もしそんな状態になっているとしたら、
一度、こんな問いを持ってみてください。
「私は、モノのために住まいを使っているのかな?」
私たちは、
モノを幸せにするために家に住んでいるわけではありません。
自分が幸せに暮らすために、住まいがある。
だからこそ、
「このモノを失ったらどうしよう?」
だけではなく、
「このモノを残すことで、私はどんな暮らしをしている?」
と考えてみる。
そして、
「これからの私は、どんな暮らしをしたい?」
と、自分に問いかけてみる。
片づけは、過去を捨てることではない
片づけをするとき、
「たくさん捨てなきゃ」
と思う必要はありません。
過去の自分を否定する必要もありません。
むしろ、
「私は、こんなものが好きだったんだな」
「この頃、こんなことを頑張っていたんだな」
「この人に、こんなに大切にしてもらったんだな」
と、これまでの人生を振り返る時間でもあります。
そして、そこから、
「じゃあ、これからの私は何を大切にしたい?」
と考えていく。
過去を大切にしながら、未来を選ぶ。
それが、私にとっての片づけです。
だから、「捨てたら後悔するかも」と思ったときは、急いで答えを出さなくても大丈夫。
まずは、
「私は、何に引っかかっているんだろう?」
と、自分の心を見てあげてください。
高かったから?
頑張った自分を認めたいから?
思い出が消えてしまいそうだから?
いつか使うかもしれないから?
それがわかれば、その気持ちを大切にする方法は、モノを持ち続けることだけではないと気づくことがあります。
そして最後に、
「このモノを残すことと、手放すこと。
どちらが、これからの私の理想の暮らしにつながる?」
と、今の自分に聞いてみる。
片づけは、モノを減らすためだけのものではありません。
これから、どんな暮らしをしたいのか。
どんな自分でいたいのか。
それを、自分自身で選び直していく時間です。
あなたの住まいは、
モノのための住まいですか?
それとも、
あなたが幸せに暮らすための住まいですか?
