それは、こんまり®流片づけコンサルタントになる少し前ことでした。
片づけの講座を受講して、そこでやったワークの一つに
「理想の朝の時間の過ごし方を書いてください。」
というのものがありました。
正直、心の中ではこう思っていました。
理想なんて描いたところで、どうせ叶うわけがない。。。
そんなことを考える時間があったら、やれることはたくさんある。
とはいえ、講師の方を前にやらないわけにもいかないので、『ムリムリ』と思いながらも、【理想の朝の時間の過ごし方】を書きだしました。
さらに宿題も出ました。
ということでした。
私は書き出した理想の中の一つで、すぐにできそうだった
『ゆっくりお茶を飲む』
ということを、自分の宿題に持ち帰りました。
ずいぶん小さな理想です。
その日の夕方、講座から帰った私はすぐに洗濯物を取り込み、いつものように少し慌ただしい時間。
子どもたちはまだ帰っていなくて、家の中は静かでした。
宿題をやることを約束してしまったから、、、と、お湯を沸かしはじめました。
いつものマグカップに緑茶を淹れて、もしかしたらお土産でいただいたお菓子もあったかもしれません。
めずらしくテレビはつけず椅子に座って、ゆっくりお茶を飲む。
「……ん?」
ほんのわずかですが、今までにない感覚がありました。
胸のあたりがじわっと温かくなる感じ。
たったこれだけのことなのに。
ただお茶を淹れて、静かに座っているだけなのに。
こんなにも、心がほっとする。
こんなにも満たされるなんて。
そのとき、気づきました。
私はずっと「家族のため」に時間を使ってきたのかもしれない、と。
ご飯を作るのも
洗濯をするのも
掃除をするのも
自分のために時間を使うことが、いつの間にか抜け落ちていました。
贅沢って、特別なことをすることではなくて、こんなふうに、自分のためだけにお茶を淹れるような時間なのかもしれない。
そんなことを、あの日のお茶の時間がおしえてくれました。
何か大きな決断をしたわけではありません。
人生が急に変わったわけでもありません。
ただ、自分のために何かをしたり、時間を持ったりすることで『満たされていく』感覚を思い出しただけでした。
叶うはずもないと思っていた私の理想は、ほんの数分で私の感じ方を変えてくれました。
理想を描くって、壮大でなくてもいいのかもしれません。
もちろん、誰に見せなくてもいい。
ちょっとした自分の本音や、やってみたかったこと。
忙しさの中で「どうせ叶わない」と目をそらしてしまう前に、一度立ち止まってみる。
できたら、それをやってみる。
案外、5分で叶うかもしれない。
それだけでも、暮らしの見え方は少し変わるのかもしれません。
あのときの体験は、『どうせ無理』とカチカチになっていた私の心が、少しゆるんだ瞬間でした。
片づけは【理想の暮らしを考える】ところから始まります。
あのとき、私はその意味をようやく体感したのかもしれません。
私は片づけが終わった今でも、何かに迷ったときは立ち止まります。
「ときめくのはどっちだろう?」
自分に問いかけます。
その一瞬をちゃんと感じてみる。
それだけで、いつも自分の真ん中に戻れているような気がします。
こんまり®流片づけコンサルタント
池田やよい
